今年の3月の初めの頃に、ホームプロジェクターを購入しました。使用環境の整備が色々と必要な家電なので、知見を共有しておこうと思います。
びっくりするかもしれないので最初に書きますが、画質の話も音質の話も出てきません。導入するだけでいっぱいいっぱいでした。
今回買ったもの
- プロジェクター EPSON dreamio EH-TW5650
- スクリーン EPSON ELPSC28 80型
- サウンドバー Denon DHT-S216
- HDMI セレクタ GH-HSWE2-BK
- TVセッター壁美人TI200 Mサイズ
- ローボード(TV台) IKEA ベストー
- 無印良品 スチールユニットシェルフ(プロジェクター台として)
プロジェクターはメルカリの中古で9万円強、スクリーンはヤフオクの中古で1.5万円で入手。ほかは新品。計186,021円(税込)。
相場感を調べてたり色々考えているうちに、予算は20万には収めたいと思ってたので丁度良くできました。
要件
- 予算は20万
- 賃貸
- 天井裏や壁の裏にベニヤを入れたりできない
- 対石膏ボードの処理でも大きな穴を開けることは避けたい
- プロジェクターを買っても TV も併用したい
- ゲームしやすさとか。地上波も鉄腕 DASH だけは観るので
- 同時に利用はできなくていい
- 使用準備に物の移動を伴わないか非常に少ない
- 観たくなったらプロジェクターやスクリーンを設置する運用は多分めんどくさくて使わなくなる
- 前からそれなりの音が出てほしい
- 他の要件的にプロジェクターは部屋の後方に設置するので、プロジェクター内蔵スピーカーは NG
- そもそも画面が大きいのだから音もそれなりの迫力がほしい
- 音質はあまりこだわりがない
- 日中も使いたい
- 多分平日夜よりは休日の昼のほうが使う
- PS4 が出力できればいい
- ゲームはもとより、SVOD(我が家では Netflix + Prime Video)、BD 視聴等は PS4 に元々集約している
- TV 番組や Nintendo Switch や WiiU や Chromecast は出力できなくてもいい
- FullHD 以上の解像度はほしい
設計
映す場所
まず考えたのはどこに映すかということです。部屋のレイアウトもこれに影響を受けるため最初に考えなければならないと思いました。これはリビングで唯一窓がなく、一番大きく使える壁を使うことにしました。TV が元々あった壁なので、結局家具の位置はほとんど変えずに済みました。
スクリーン
次に、その位置にどんなスクリーンを設置(または直接壁に投影か)するかを検討しました。「プロジェクターを買っても TV も併用したい」「使用準備に物の移動を伴わないか非常に少ない」の要件があるので、スクリーンを選ぶ際は「収納できるが、引き出すだけで使える」タイプを選ぶことになります。
このタイプのスクリーンは大別すると天井(というか上)に設置するか、床に設置するかの2種類があります。
天井設置
天井設置は床に場所を取らないため、設置後は非常に快適そうです。しかし、本当に天井に設置するには大掛かりな工事が必要(ベニヤを入れるか、ディアウォールなどで天井の代わりに固定できる枠を作る)になるため「賃貸である」要件上不可能ですし、壁に設置するのも同じく大掛かりになります。そして大掛かりなった割には、
- 築年数がそれなりのリノベーション済み物件なので、内装に歪みが考えられる。2×4材の微調整などが必要になりそうだけど、そういうことができるスペース(屋外の専有地等)が無い
- 下地材の位置に影響を受けるので設計の自由度が下がる
などが不利な点です。ぶっちゃけ穴を開けることについては、最悪出るときにお金払えば済むでしょという考えもアリだとは思いますが、今回は頑張ってもあまり得しなさそうなのでやめました。
床置き
床に設置するのは、天井設置と対称的なメリット・デメリットがあります。メリットは工事が必要ないこと。デメリットは床に物が増えるのが良くなさそうです。我が家は高いルンバビリティを保ってきたので、床にルンバが下をくぐれないものを設置することにはかなり抵抗があります。
壁
TV を併用するため、TV を避けて部屋の上のほうに投影することになり、あまり快適な位置に投影できません。TV を収納可能なものにする、も考えられますが、TV のほうが使用頻度が高いと考えているため本末転倒です。また、壁紙に影響されて画質が悪くなります。好みの問題が多分に入りますが、僕はスクリーンを設置することにしました。
ローボードにスクリーンを設置
結局、それぞれのデメリットを解消する案として、「TV を壁掛けにして、ローボードに床置きスクリーンを載せる」ことにしました。TV の壁掛けが石膏ボードでも案外簡単にできることは以前から知っていたので思いつきました。
ローボードとスクリーンのサイズ感ですが、使える壁の幅が180cmというところから出しています。まず180cmのローボードを設置することにして、そこに乗る最大サイズのスクリーンを考えました。幅180cm弱の床置き型のスクリーンは、4:3の80インチのものになることが分かりました。16:9の80インチは幅180cmに収まりませんし、16:9の60インチは、4:3の80インチに16:9の映像を投射する(実質73.6インチ)ことと比べて不利だと考えました。
また、床置き型のスクリーンの種類がいくつかありますが、パンタグラフ自立式のものを選びました。まず自立式と三脚式に分けられますが、三脚式ではローボードに設置することはできません。
自立式の中で更にパンタグラフ式と、通称はわかりませんが、背骨を垂直に立ててそこに引っ掛ける方式に分かれます。垂直な背骨のほうは、設置時に後ろに回り込んだり、スクリーンの上のほうが手が届かなくなりやすく、棒で操作しなくてはならないなど不利な点があります。それに対してパンタグラフ式は、引き上げて手を離すだけで、バネとスクリーンの重さが釣り合って自由な高さで止まります。UX がかなり違いそうなので、値は張りますがパンタグラフ式を選択しました。
プロジェクター
やっとプロジェクターの話ができます。プロジェクター選びに関係する要件はなんでしょうか。
- 予算
- 賃貸
- 使用準備に物の移動を伴わないか非常に少ない
- 日中も使いたい
- FullHD 以上の解像度がほしい
まず賃貸なのでスクリーン同様、設置方法が限定されます。これまたスクリーン同様、プロジェクターも天井付けが最も場所を取らず、位置の自由度が高く、排気音が気にならず、揺れに強いため、可能であれば最高のソリューションですが、今回は不可能です。
天井付けはできないのに「移動させたくない」。これは結構ハードルが高かったです。プロジェクターの位置は思った以上に制約があります。今回は壁のサイズ的に、16:9換算73.6インチの映像を投射する想定です。
- 3.2mの投射距離で約80インチの映像が映せなくてはならない
- 移動させないため、動線に設置してはいけない。我が家ではソファの後ろしかなかった。約3.2mの投射距離になる
- プロジェクターは投射距離が長ければ自然と映像が大きくなるので、3.2mも離れているのに80インチという小ささ(!)で映せる機種を選ばなくてはならない
- ヨコ台形補正機能が必要
- ソファの後ろ、スクリーンの正面の壁には窓があり、プロジェクター(というか、それを設置する台)は設置できないため、正面ではなくヨコにずらして(部屋の角あたりに)設置することになる
- 実はレアな機能で、これだけでほとんど EPSON しか選択肢が無くなる
次に「日中も使いたい」ですが、これは単純に輝度が高ければ良いです。ネットを見てると、3000lm程度あれば日中快適に観られるそうです。
最後に解像度ですが、FullHD か 4K か選ぶことになるでしょう。
投射距離と投影サイズの関係は検索しにくいので、それと価格を除いた他の条件で調べると、4機種ほどヒットします(参考: 価格.com)。その中で距離3.2mで80インチを投射できるのは……なんと以下の2機種(実質1機種)しかありません。
- EPSON dreamio EH-TW7100/7000
価格も16万円と、他に色々買い揃えなくてはならないので予算かなりオーバーしそうです。これはつまり、要件の一部を妥協しなくてはならないということです。
一番妥協できそうなのは輝度でした。我が家のリビングは遮光が強いカーテンを使っているので、日中でもカーテンを閉めればかなり暗くできるためです。この要件を3000lmから2500lmに妥協したことで、EH-TW5650 1機種だけですが候補が増え、しかも12万円台となんとかなりそうな価格帯です。これでプロジェクターの機種は決定です。
プロジェクターの設置方法
地味に悩むところです。ソファの後ろに置くので、あまり低い位置には設置できません。高い位置に置くにはなんらかの台に載せる必要がありますが、もう一つ問題があります。
プロジェクターは基本的には本体よりあまり下方には映像を投影できないのです(5°くらいまで)。本体の上方に投影することは得意なので、部屋の上のほうに設置する場合は、天井付けや背面設置(置くけど、上下をひっくり返す)、またはかなり本体を「前傾させて」設置する必要があります。本体の上下をひっくり返しても、だいたい、映像の上下も反転する機能が付いています。
背面設置はプロジェクターの背中についているボタンの操作ができなくなるのが不利だし、かっこ悪そうという理由で、本体を前傾させることにしました。前傾させるのもかなりかっこ悪いですが。
スピーカー
プロジェクターにも内蔵スピーカーがありますが、部屋の後ろの隅からショボい音が鳴っていたのではせっかくの大画面も台無しです。音にこだわりがあるほうではありませんが、それなりの音は鳴っていただきたい。そしてルンバビリティを保持するため新たに床に置くものは増やしたくない。
以上から、スクリーンと一緒にローボードにサウンドバーを設置することにしました。
できればプロジェクター使用時だけでなく、 TV に映像を出力するシーンでも使えるスピーカーが良いと思っていました。そうすると2つの入力系統は必要になります。今回は HDMI(ARC) と光入力端子が併用できる機種なら良さそうです。
また、音質は音楽はこのスピーカーでは聴かなさそう(僕はそもそも音楽をあまり聴きませんが)なので、映像の引き立て(臨場感)に寄せたものが良さそうかなというイメージを持ってました。
これらの条件から価格でエイッと DHT-S216 を選びました。音にこだわりがある人はもっとちゃんと選ぶといいと思います。
配線
他の機種選びと並行して考えておく必要があるので、けっこう大変です。最終的に配線できない機種の組み合わせで購入してはいけません。
まずこれまでの配線です。
非常に単純です。実際は PSVR があったりしてもっと複雑ですが、今回の設計には影響しません。
次に、最終的な配線です。
紫の線は映像音声兼用で、青の線は音声専用です。
まず TV に出力している機器が多いため、TV の入力をそのまま Speaker に流したいので ARC で接続します。
PS4 をプロジェクターにも TV にも出力する必要があるため、HDMI セレクタを導入しました。色々ありますが、今回は2チャンネルに分けられれば良いのと、押しやすい位置に設置できればボタンで構わない(リモコンは要らない)ので安く済ませました。
プロジェクター使用時の音声ですが、スピーカーの ARC 入力は TV の出力先として使ってしまっているため、光デジタルケーブルで PS4 とスピーカーを接続しました。HDMI でないため CRC は使えませんが、まあ許容範囲内です。
これで、
- プロジェクター使用時は CRC が使えないため、スピーカーを操作する必要がある
- プロジェクター/TV 切り替え時 HDMI セレクタを操作する必要がある
などの妥協点はありますが、大きな設備投資も無く配線できました。
どうだったか
まず僕はもともと映画はそんなに見ませんが、ホームシアター的環境ができたことには満足しています。設計が良かったと思います。
良かったな、と思う点
- SVOD を観るのが楽しくなる
- 準備に1分もかからないので、SVOD でアニメ観るだけでもサッと準備して観れる
- サウンドバーが良かった
- これは TV にもつないであるので常時音が良くなった
- 自分は音に対するこだわりはあまりないのでコスパ系のものを探していたが当たりだったと思う
- TV はなんだかんだで使う
- 併用は設計時に大きな負担になったが、満足
- もちろん個人差大。TV 撤廃の選択も部屋がすっきりしていいと思う
- カーテンは遮光性の高いものを選択していたので2500lmでも妥協できて良かった
- EPSON のプロジェクターの台形補正 UI であるクイックコーナーがめちゃくちゃ良い
- 角度がキツくてダサいけど、高めの位置にプロジェクターを設置したので、排気音が気になりにくい
- COVID-19 の影響で家にいる時間がかなり増えたので、家でできることのクオリティ向上はリターンが大きい
あまり良くなかったな、と思う点
- 2500lmは暗い(照明も落として観ている)
- とはいえ予算内では多分解決不可能
- プロジェクターを設置するのに使っているスチールユニットシェルフはグラグラするので、振動が発生すると映像が揺れて気になる
ギャラリー
念の為、写真で画面に表示されている名前は本名ではないので心配無用です。